最近よく目にする「骨盤矯正」って何? どういうことをするの?

テレビの健康バラエティ番組やインターネットなどで頻繁に目にする機会が増えている「骨盤矯正」。

骨盤がいわゆる腰骨だということはわかっても、矯正できるものなのかとか、痛いんじゃないかとか、矯正してどうなるのかだとか、いまいちわかっていない部分もあるのではないでしょうか? 

特に女性にとってはうれしい効果が期待できる骨盤矯正について、詳しくなりましょう。

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1.そもそも「骨盤」とは?

 

1-1.骨盤の仕組み

骨盤は、いわゆる腰骨。腰に手を当てたときに、はっきりとその存在を感じられる骨です。すり鉢状の形状をしており、その内側は空洞になっています。ここに内臓の一部が収まるわけですが、女性の場合は妊娠・出産が可能なように、中央の穴が丸型で広くなっています。男性の場合は穴が三角形に近く、狭い造りをしています。
男女差が非常に大きい骨なので、法医学でも人骨からの性別鑑定に用いられます。

 

大きなひと固まりの骨だと思う人も多く、実際に昔は1つの骨だと考えられていたようです。現在では、寛骨、仙骨、尾骨の3つから構成されていることがわかっています。この3つの骨も、成人前はさらに細かく分かれており、年齢とともに一体化して1つの骨になるようです。


同様に、昔は関節がないとされていましたが、現在では寛骨と仙骨をつなぐ仙腸関節と、恥骨結合部分が関節として稼働することがわかっています。
妊娠・出産を経験すると仙腸関節に痕跡が残るため、考古学では女性の遺骨から妊娠や出産の経験があったかどうかを判別するのに用いるようです。

 


1-2.骨盤が担う役割

骨盤は、背骨と脚をつなぐ重要な部分です。仙骨が脊柱とつながっており、寛骨の左右下部にあいた穴が大腿骨とつながる股関節です。

骨盤内側の空洞には、腸や膀胱、女性であれば子宮といった臓器が収まっています。骨盤がすり鉢状になっているため、臓器が落下せずに保持されます。

今回の骨盤矯正とはあまり関係がありませんが、仙骨と腸骨の骨髄には成人後も造血を行う機能が残っているため、骨盤から骨髄液を採取して骨髄移植をする場合があります。

 


2.骨盤のゆがみを正す骨盤矯正


2-1.骨盤がゆがむ原因

骨盤の関節は強靭な靭帯によって固定されているため、通常は外部の力によって簡単にゆがむものではありません。しかし、生活習慣や癖などで長期的に無理な力がかかり続けた場合は別です。

たとえば……
・猫背
・一日中座りっぱなし
・立っているときにいつも同じ脚に体重をかける
・脚を組むときに上になる側がいつも同じ
・カバンを持つ手がいつも同じ
・間取りの関係で、いつも同じ側に首を傾けてテレビを見る
・いつも同じ側を下にして横向きで寝ている
・ハイヒールを長時間、長期的に履いている
・サイズの合わない下着をつけている
・運動不足や老化に伴う筋力低下
・妊娠や出産

こうしたことが、骨盤をゆがませる原因だと考えられています。偏った筋肉の使い方で一部の筋肉が緊張し、骨盤を引っ張ってしまうことでゆがみが発生します。


2-2.骨盤がゆがむとどうなる?

骨盤がゆがむと、体の広範囲にさまざまな不調が起こるようになります。というのも、骨盤がゆがんでしまうと背骨や首、足の骨格までもが影響を受けてゆがんでしまうため、全身に痛みやコリなどが発生してしまうのです。

ゆがみを骨盤だけに限定した場合でも、腰痛、便秘・下痢、生理痛・生理不順、不妊、冷え、ぽっこりお腹、下半身太り……などが引き起こされます。
いずれも、骨盤内に収まる内臓がゆがみの影響を受けて不調を引き起こす症状です。

骨盤が開いていると内臓が下垂してしまい、正常に働かなくなって冷えを引き起こします。また、開き具合に伴いお尻も大きくなり、さらに下半身に肉がつきやすくなります。ダイエットをしていて上半身は順調に痩せているのに下半身に変化が見られないという場合、骨盤が開いているのかもしれません。

骨盤が前に傾いていると、内臓が骨盤内に収まらずにお腹がをにあふれてしまい、ポッコリお腹に。同時に後方へ骨盤が飛び出す形になるため、お尻が大きくなりやすいのです。

 

3.骨盤のゆがみを確かめる方法は?


3-1.骨盤はどんなときに動くの?

骨盤がゆがむといっても、何cmも変形してしまうわけではありません。ゆがむ可能性がある部分は仙腸関節と恥骨結合部分です。しかし仙腸関節は広い面と面が接している関節であるため、ゆがみは数mm程度、最大でも1cmほどです。恥骨結合は女性のみ、妊娠・出産に伴い開いていきますが、その後自然に元に戻ります。


3-2.自分の骨盤はゆがんでいる?

日常生活で自分の骨盤の状態を認識できる人は少ないでしょう。上にもあるように、骨盤は動いても数mm程度なので、目で見てゆがみを感じることはできないからです。明らかに体が傾いているという場合は、骨盤だけでなく骨格自体がゆがんでしまっている可能性があります。

実際のところ、ほとんどの人の骨盤はゆがんでいると考えたほうがいいでしょう。どれほど姿勢や座り方などに気を使っていたとしても、利き腕、利き足は誰にでもあるものです。筋肉の付き方が左右で異なれば、体にかかる重さも異なるわけで、左右均等というわけにはいかないからです。


3-3.骨盤のゆがみを確かめる方法

広くて安全で、床に目印のあるところに立ちます。目を閉じてその場で50回足踏みをしてみてください。それから目を開けて、目印からどの方向にどれくらい移動してしまったかで骨盤のゆがみ具合を見てとることができます。

目印から移動してしまった方向に、骨盤はゆがんでいます。前に移動している場合、前傾しているということです。目印から1m以上離れているなら骨盤はかなりゆがんでいると考えられるので、痛みや不調が出る前に何らかの方法で矯正したほうがいいでしょう。

 


4.骨盤矯正の方法


4-1.整形外科

腰痛の症状がある場合はレントゲン撮影や電気治療を行い、消炎剤や鎮痛剤を処方してくれますが、「骨盤のゆがみを取ってほしい」と言っても、気にしすぎと言われてしまうかもしれません。
というのも、骨盤の数mmのゆがみはレントゲンではなかなか確認できるものではないからです。
ただし、産後の骨盤矯正というのなら話は別です。骨盤を矯正するベルトやストレッチ法を指導してもらい、無理なく正常な状態に戻していくことができるでしょう。


4-2.整体院・整骨院

骨盤矯正のブームもあり、整体業界では研究が進んでいるようです。
まず全身の筋肉を緩めて、骨盤をゆがませている筋肉の緊張をほぐします。それから骨盤自体のゆがみを取り除き、全身の骨格を整えてくれます。
体の使い方の癖によってはまたゆがみが戻ってしまう場合もあるので、防ぐために生活習慣やストレッチなどを指導してくれるところもあります。1度の通院で完全にゆがみがなくなり、再発もしないというのは難しいかもしれませんが、通うたびに良くなっていけるでしょう。

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4-3.セルフストレッチ

自宅で継続して行うストレッチは即効性はないかもしれませんが、続けていれば予防にも改善にもなります。
多少スペースが必要なものもあるので、ある程度の広さを確保してやってみてください。

(1)お尻の上げ下げ

仰向けに寝そべり、膝とかかとをくっつけた状態で膝を曲げます。くっつけたところを離さないように意識しながらお尻を床から上げたり下げたりします。

 

(2)脚倒し

仰向けに寝そべり、膝とかかとをくっつけた状態で膝を曲げます。肩が床から離れないように意識しながら、両足をそろえたまま右側に倒していきます。ゆっくりと脚を戻し、次は反対側にも倒していきます。

 

(3)全体揺らし

仰向けの状態から両脚を曲げて両腕で抱え込み、丸くなります。そのまま体を前後左右にゆっくりと揺らします。

 

(4)お尻歩き

両足を伸ばした状態で床に座ります。お尻の左右を交互に前に出しながら前進し、交互に後ろに下げながら元の位置に戻ります。

 

5.骨盤矯正のメリット

骨盤のゆがみは体に与える影響が広い分、矯正できたときの効果も多岐にわたります。腰痛や肩こり、下痢・便秘、生理不順の改善、冷えの解消などが可能なため、今まで病院で調べても原因がわからなかった不調が改善されるかもしれません。

さらに、内臓の位置が正常になり、消化や吸収が滞りなく行われるようになるため、新陳代謝が上がってダイエット効果も見込めます。

 

 

まとめ

最近の骨盤矯正ブームでダイエット効果ばかり取りざたされていますが、実は体の悩みを一気に解決できるかもしれない可能性が秘められています。自分はダイエットに興味がないから関係ない……などと思わず、一度骨盤のゆがみをチェックしてみてはどうでしょうか? もしかすると、長年苦しめられてきた腰痛や生理痛などが良くなるかもしれませんよ。